といった疑問にお答えします。
有給休暇の取得義務化について
- 世界と比較した日本の有給休暇の取得率
- 有給休暇の取得義務の対象となる労働者の要件
- 有給休暇の取得ができないと罰則が科せられる可能性あり
などについて、まとめています。
働き方改革によって、有給休暇の取得が義務化されたことはご存知でしょうか。
日本は世界と比べて有給休暇の取得率が低いといわれています。
「コロナ禍」や「テレワーク」といった環境の変化により、休みを取りづらくなっている方も多いかもしれません。
しかし、要件を満たしている方は休みを取って、有給休暇を消化しなければいけないのです。
なぜなら労働基準法で、有給休暇の取得義務が定められているからです。
休みたいけど休めていないそこのあなた!
会社や自分自身のために、有給休暇の取得義務化について知り、メリハリのある働き方をしていきましょう。
結論:10日以上付与されているなら、年に5日間の有給休暇の取得が必要
では、見ていきましょう。
有給休暇の取得義務化について
2019年の4月から、労働基準法の改正・働き方改革による「年5日の年次有給休暇の確実な取得」がすべての使用者に対して義務づけられました。
年次有給休暇は労働者が心身をリフレッシュすることが目的で、原則として労働者が希望した日に休暇を取得することができます。
厚生労働省のガイドライン にある内容を要約すると、
- 会社は従業員の有給休暇取得状況を把握し、必要に応じて取得を促しましょう。
- 10日以上の年次有給休暇が付与されている従業員は、最低でも年に5日の休暇を積極的に取りましょう。
ということが記されています。
しかし、様々な理由から有給休暇を取ることに引け目を感じている人が多く、日本の有給休暇取得率は世界と比べて低い水準となっています。
世界と比べた有給休暇の取得率
毎年、エクスペディアが「有給休暇の国際比較調査」を実施しています。
2020年の世界16地域における有給休暇の取得状況は下記の結果となりました。
日本の取得率は45%と、ワースト3位に入る取得率の低さです。
休暇を取らなかった理由は海外と日本いずれにしても同じような内容ですが、順位が違っており「日本らしいな」という結果となっています。
【海外:有給休暇を取らない理由】
- 新型コロナウイルスの影響でどこにも旅行できない…33%
- 緊急時のために取っておく…27%
- お金がない…22%
【日本:有給休暇を取らない理由】
- 緊急時のために取っておく…30%
- 人手不足など仕事の都合上難しい…22%
- 新型コロナウイルスの影響でどこにも旅行できない…12%
エクスペディア 世界16地域 有給休暇・国際比較調査 2020
”何かあったときのため”に備える風習と、つい働き過ぎてしまう国民性が伺えます。
また、テレワーク(在宅勤務)も休暇取得率の低下に影響しているのではないでしょうか。
- 会社に行かないことで通勤時間がなくなり、自分に使える時間が増えた
- 職場の人に働く姿を見られていないため、やることさえやっておけば好きなタイミングで休める
自由時間が増えたことでわざわざ休みを取って時間を確保する必要がなくなったことが挙げられます。
さらに、職場で感じていたストレスがないため、「休暇を取ってリフレッシュ!」という勢いがなくなったことなども考えられます。
- 慣れない環境に業務の生産性が落ち、休んでいる場合ではない
- 在宅勤務が有給休暇の扱いになる
「資料やデータが手元になくて仕事がやりづらい」や「コミュニケーションが取りづらい」などから、生産性が落ちて残業が増えるといったことがあります。
また、出社を推奨している会社に勤めていると、「在宅勤務をするなら有給休暇を使わないといけないから、残しておきたい」という状況もあるでしょう。
私は過去に、気づいたら年に2回しか有給休暇を取っていないということがありました。
- 月に2個の祝日がある
- 祝日との兼ね合いで連休がある
- GW
- 夏季休暇
- 冬期休暇
- 上記の月以外では忙しい月があった
- 旅行やお出かけの予定がない
などの理由プラス在宅勤務という環境もあり、有休を取ることをあまり意識していませんでした。
”気づいたら”だったので休めていない感覚はなかったですが、休み大好き人間としては気づいてからの「もっと休めたんだ」感は否めませんでした。
休みの取りやすさは会社によって異なるかと思います。
しかし、「年5日の年次有給休暇の確実な取得」が法律で義務づけられているので、積極的に休みを取りましょうね。
続いて、有給休暇が付与される要件や日数が決まっているので確認していきましょう。
有給休暇が付与される要件
- 雇入れの日から6ヶ月継続して雇われていること
- 全労働日の8割以上を出勤していること
上記2点を満たしている労働者は、年次有給休暇を取得することができます。
有給休暇の付与日数
①原則となる付与日数
使用者は、有給休暇が付与される要件を満たしている労働者に対して、原則として10日の年次有給休暇を付与しなければなりません。
管理監督者や有期雇用労働者も対象です。
入社日から数えて6ヶ月後に10日間付与されます。
②パートタイム労働者など、所定労働日数が少ない労働者に対する付与日数
労働日数が少ない労働者については、所定労働日数に応じて年次有給休暇が比例付与されます。
所定労働時間が週30時間未満で、かつ、週所定労働日数が4日以下または年間の所定労働日数が216日以下の労働者が対象です。
太枠部分は「年5日の年次有給休暇の確実な取得」の対象となります。
なお、取得した年に消化できなかった年次有給休暇は、翌年に繰り越すことができます。
有給休暇の取得時季指定義務
使用者は、労働者に年次有給休暇を付与した日から1年以内に、取得時季を指定して年次有給休暇を5日取得させなければなりません。
労働者が申し出た希望休暇日を尊重し、申し出がない場合は使用者側から意見を聴取します。
5日の取得ができないと罰則が科せられる場合があるので注意しましょう。
罰則を受けないためにも
会社・従業員の双方で有給休暇についてしっかり考え、罰則を受けないように心がけましょう。
会社がすること
年次有給休暇管理簿を作成し、各従業員の有給休暇の取得状況を把握します。
年次有給休暇管理簿は3年間の保存が必要なので、管理簿の作成とともに管理システムを構築しておくことがオススメです。
従業員がすること
積極的、かつ、計画的に有給休暇を取得します。
様々な理由から、休みづらいかとは思いますが、生産性を上げて質の良い仕事をするにはリフレッシュが必要です。
会社に罰則を受けさせないため・自分自身がしっかり休むためにも、休暇を取ってワークライフバランスを整えましょう。
まとめ
2019年4月から「年5日の年次有給休暇の確実な取得」が、すべての使用者に義務づけられました。
対象となるのは下記の要件を満たし、10日以上の年次有給休暇を付与されている労働者です。
- 雇入れの日から6ヶ月継続して雇われていること
- 全労働日の8割以上を出勤していること
年に5日の有給休暇を取得できなかった場合は罰則が科せられる可能性があるので、使用者・従業員共に有給休暇の取得状況についてはしっかり把握しておきましょう。
年次有給休暇の取得は労働者の心身の疲労の回復、生産性の向上など労働者・会社双方にとってメリットがあります。年5日の年次有給休暇の取得はあくまで最低限の基準です。 5日にとどまることなく、労働者がより多くの年次有給休暇を取得できるよう、環境整備に努めましょう。
厚生労働省:年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説
上記のとおり、国が年次有給休暇の取得を推奨しています。
有給休暇の取得は労働者の権利です。
周囲との連携を取りながら積極的な有給休暇の取得を心掛けていきましょう。
以上です!読んで頂きありがとうございました!